叶う。 Chapter2
「・・・あなたがあの子と出遭ったことで、あの子は兄の自分に対する愛情を疑い始めた。兄はあなたみたいに優しい人じゃなかったから。だからあの子は突然暴れたの。きっと色々と限界だったのかもしれない。そして暴れるあの子を兄は強引に寝かしつけた。」
「・・・・・。」
「きっと目が覚めれば落ち着くと思ったんだろうけど、目を覚ましたのは私だった。」
「・・・・・じゃあ、本物のかなうは何処に行ったの?」
「本物?私はかなうでもあるの。それとも私が偽者だって言いたいの?」
「いや、そういうわけじゃなくてもう一人の方は何処に行ってしまったの?」
「私にも分からないの、ただどんなに呼びかけても、入れ替わろうとしても、あの子は姿を現さないから。」
「ごめん、俺も混乱してる。病院とか行ったの?」
和也の言葉に私は溜息を吐いた。
「病院にも行ったし、頭の検査も全部したよ。でも医者は全員私は正常だって判断を下した。私には記憶があるから。」
「だって、自分で違うって分かっているのに何で?もっとちゃんと検査してもらった方が・・・・。」
和也の言葉に無性に腹が立った。
何も知らないから、そんな事が言えるのだ。