叶う。 Chapter2
「和也に何が分かるの!?私はあの子の代わりに母親から知らない男に売られて、虐待されてきた。あの子が気を失えば全部私が代わりに耐えてきたの!!それなのに8年もの長い間、私はずっと暗闇に閉じ込められたままだった。あの子の瞳から白黒で物を見るだけしか出来なかった。それなのに、あの子は皆に愛されて幸せだった!!」
私は思わず今まで溜まっていた鬱憤を晴らすかのように、和也に怒鳴り散らした。
「気に入らないなら病院にでも通報したら?そしたら私は一生檻の中から出られないでしょうね!!私は頭がおかしいってそう言ったら良い。」
私は履き捨てるようにそう言い放った。
「そんなつもりはないよ。」
怒りで爆発しそうな私に、和也はやっと冷静になったのか落ち着いた声音でそう言った。
私は何だか感情的になりすぎて、その落ち着いた声音に脱力した。
「もう、これで納得出来たでしょ?・・・・だから私は兄の傍に居なくちゃいけない。兄からあの子を奪ったんだから。」
「・・・どうして?かなうが自分で姿を隠したのに、どうして君が奪った事になるの?」
「それは私があの子に、兄があの子をどれだけ大事にしていたか教えてあげなかったから。」
「だって、教えてあげられなかったんでしょ?かなうは君の存在を知らなかったんだから。」