叶う。 Chapter2
「あー、そういえばさ。」
もう時間はすっかり夕方近くなり始めた頃、和也は思い出したようにこう言った。
「水族館行こうぜ。」
飲み物に口をつけたばかりの私は、その言葉に噎せた。
「ちょっ・・・w大丈夫?」
和也はそんな私の背中を優しく擦った。
私はそんなことすっかり頭になかったので、和也の突然の言葉にただただ驚いた。
「あー、別にデートとかそういうんじゃなくてさ。かなうが嫌なら凛とかも誘って皆で行こうよ。」
和也はそう言ってくれたけれど、私はなぜかどうしても和也と2人で行きたかった。
最後の我侭にしようと、私はそう思った。
「2人で行きたい。」
私がそう言うと、和也は寂しそうに笑った。
きっと私の心が分かっているんだろうと、その表情で分かった。
「りょーかい。じゃあいつにする?」
私達は和也の部屋に掛けられたカレンダーを見ながら日付を確認した。
「水曜日がいいかな?俺もダンスないし、かなうもピアノないでしょ?」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、決まり。」
和也はそう言って、カレンダーの28に丸をつけた。
「そろそろ送ってくよ。」
和也はそう言ったけれど、私は断った。
今の中途半端な状態で、そんなことして貰うなんて筋違いだとそう言った。
だけれど和也は英語に行くから、そのついでだと言い張った。
今日の出来事で気付いた事がある。
それは私達はお互いに頑固だという事だ。