叶う。 Chapter2
エレベーターが15階に着くと、扉がゆっくりと開いた。
その途端、私はまるで映画でも見ているかのように拳銃を向けられた。
しかもエレベーターの扉の前から3人に。
私はシオンが言ってた、近づけば殺されるの意味を理解した。
「Who are you?(お前は誰だ?)」
「anna.(アンナ)」
私がそう言うと、3人は銃をおろした。
どうやら、やっぱり私を待っていたのだろう事がその行動で分かった。
一人が私の腕を掴むと、鞄を取り上げてボディチェックをされた。
上から下まで他人に触られるのは不愉快極まりなかったけれど、私はそれを表情に出さないように、平静を装った。
ボディチェックが済むと、スキンヘッドにサングラス姿の男に腕を掴まれたまま、私は家の中へと連れて行かれた。
さっきの連中もそうだったけれど、全員見事に黒いスーツにサングラス姿だった。
逆に目立って仕方ないんじゃないかと思ったけれど、それは私の気にする事ではないとも思った。
家の中に無理やり連れて来られたけれど、私は何故か自分でも驚くほど冷静だった。
銃を向けられても、多分一瞬で自分の思考が止まるならば、もう色々悩む事もないのだと思うと、それもそれで良いのかもしれないと思った。
そう考えると何故かすごく心が冷めていくのが分かった。
大丈夫、私は今人生で一番冷静だ。