叶う。 Chapter2
私は真っ直ぐにママの所に向かった。
ママは泣き崩れて両手で顔を覆ったままだった。
私はママの隣に居てあげたかった。
ママの隣に私が座ると、ママは私の膝元に顔を埋めて泣きながら何度もごめんねと小さく呟いていた。
そんなママの弱った姿を見た事がなかった私は、そんなママの様子に酷く胸が痛んだ。
私は今度は正面からその人をじっと見つめた。
感情のない蒼い瞳も、片方の口角を上げて笑っているその顔も、なぜかとても見慣れているような気がした。
悪魔みたいだと、いつもそう思って見ていたけれど、その表情はシオンそっくりだった。
「自己紹介が遅れたね、私はジェームスだ。君の知っての通りそこに居るジャスティンとジャックの父親だ。」
ジェームスと名乗ったその人は、双子を冷たい目付きで睨んだ後にちらりとママの方を見たけれど、直ぐに私に視線を戻した。
「聞いた所によると、君はまだ何も聞かされていないようなのできちんと説明しよう。私はとある仕事をしていてね、今回その跡継ぎを決めた訳だが、それが所謂愛人の子でね。私は自分の住む国では世間的にも認められる名門の一族の末裔なんだ。」
私がその内容を頭で整理していると、その人はまた鼻で笑った。