叶う。 Chapter2
パソコンの画面が切り替わり、私は驚いて食い入るようにその画面を見つめた。
さっきまで目の前に居た双子の父親が、その画面に映っていた。
それはきっとパパラッチされた写真なんだろうと思ったけれど、はっきりしないこの写真でも双子の父親は圧倒的に人間らしからぬオーラを纏っていた。
私は更に調べて、概要を探し出した。
レイチャーチル家7代目当主である、ジェームス・R・レイチャーチル(47)は、イギリスの貴族の一人である。
総資産は5000億を超えるとも言われているが、詳細は不明。数々の土地を持つ地主としても有名である。
それ以外にも投資家としても有名であり、若き現当主は先代当主よりもその実力を発揮させている事でも注目されている。
現在はイギリスに総費用50億とも言われる豪邸に先代の妻(72)と妻(41)と二人の娘と共に生活していると言われているが、詳細は不明。
私は更に詳しく調べてみると、数週間前の新聞記事を見つけ出した。
レイチャーチル家の悲劇と題されたその新聞記事は、イギリスのニュースだったので、全て英語で書かれていたけれど、私はその記事に隅々まで目を通した。
2週間程前の未明、旅行に向かった妻と娘二人がスピード違反のトラックと事故を起こして、乗っていた全員が命を落としたという記事だった。
そして先週、妻と娘二人の葬儀が行われたという内容に、私はやっぱりあの男が妻と娘を殺したのだと確信した。