叶う。 Chapter2
そんな私の頭の中とは関係なく、授業は滞りなく進んでいる。
英語の授業で2回も先生に当てられたけれど、私はきちんと正確に答える事が出来た。
私は凛が早く学校に来てくれないか、そればかり考え始めた。
運が良ければ凛の反応で色々と推測出来るかもしれないし、何より一昨日あの子は顔に殴られた痕があった。
同情する振りでもしておけば、何か聞き出せるかもしれない。
私の予想が正しければ、あれはきっと男に殴られた傷に違いないはずだ。
それならそれで、好都合。
仕事をさせているってシオンが言っていたくらいだから、きっと立場上シオンの方がその男よりも上なんだろう。
何をしているかなんてどうでもいいけれど、その男と凛を引き離してあげることなんか簡単な事だろうと思った。
何だかんだと考え事をしていると、時間が過ぎるのはとても早い。
さっきまでは考え事をしていて気にならなかったけれど、なんだか気がつくと周りの視線を感じる。
授業中だというのに、クラスメイト達はちらちらとよく私を見てくる。
ふと名前も知らない男子と視線が合ったので、私は優しく微笑んであげた。
その子は顔を赤くして、私から視線を逸らした。
その子に興味はないけれど、愛想を振りまいておいてきっと損はないだろう。