叶う。 Chapter2
/月島省吾
「あ、あの……」
″ん?アンナか?"
突然呼ばれたその名前に、私はパニックになりそうだった。
どう考えても知らない声だし、何故この人は私を知って居るのかが謎過ぎて怖かった。
だけれど私は怯えながらも、返事をした。
「……はい。」
"随分とでっかくなったんだな。会った時は言葉も喋らなかったのにな。″
その人はそう言って、掠れた声で笑った。
「会った事があるんですか?」
″なんだ?覚えてねぇのか?ま、それも仕方ないか。ところで何の用事だ?″
「あの、私……家を借りたくて。」
″は?お前まさかと思うが、ボスを怒らせでもしたのか?″
私は話の意味が分からなくて、思わず聞き返した。
「ボスって誰ですか?」
"ボスはボスだろ?ちょっと待て、俺が聞いたのはお前が大学に行くまで、父親代わりをしろって事だけだ。なのに何故家を借りる?"
「……私、あと3日以内にこの家を出なきゃ行けないんです。」
″お前、一体何をしでかした?お前がその家を出るなんて俺は聞いてないぞ?″
「それは……その。ちょっと色々あったんです。」
″……そうか。″
なんだか腑に落ちない声音で、その人はそう言った。