叶う。 Chapter2
年齢は多分ママと同じくらいだろうか。
サングラスを掛けているからその瞳は分からないけれど、背が高くて何だか威圧的な風貌だった。
どうしてこうも私の周りはこんな威圧的な人物ばかり現れるのかと、疑問に思ったけれどそれも今更考えても仕方ないのかもしれない。
スーツに赤いマフラーを下げカシミアのコートに身を包んだその人は、明らかに裏の世界の住人だったけれど、この人がきっと月島省吾なんだろうと思った。
「あ、私のお父さんなので開けて下さい。」
私は警備員の人にそう告げると、警備員さんは相当怖かったのか一瞬にしてマンションの扉を開けた。
そして私はカードキーを使ってエレベーターを1階に降ろした。
エレベーターは直ぐに私の住む家に上がってきた。
私は玄関の扉を開いて、こちらに向かってくるその人物達を眺めた。
「この小娘が!随分と待たせやがって、寒いじゃねぇか。」
「・・・ごめんなさい。」
昨日電話で聴いた声の主は、開口一番にそう言って近づいてきた。
そして私の頭に優しく手を置いた。
「随分とでっかくなったもんだな。俺も歳とるわけだ。」
その人はそう言うと、サングラスを外して私の顔をじっと見つめた。
綺麗な人だと思った。
男性に綺麗という表現はおかしいかもしれないけれど、整った顔立ちに真っ白な肌、そして瞳は色素の薄いこげ茶色。
髪はきっと産まれつき茶色いのだろう。
多分だけれど、この人も私と同じで外国の血が入っているような気がした。