叶う。 Chapter2
写真に写る男の顔は、あの日見たあの顔と同じだった。
あんなにも復讐したいと、殺してやりたいとまで思っていたその人物の写真は、何だか幸せそうに笑顔を浮かべていた。
あんなにも復讐したいと願っていたはずなのに、どうしてだろうか。
私は何故か、喜びも悲しみも、憎しみまでもが消え去っていた。
死んでしまったんだ。
私がそれを望んだから、この人は死んでしまったんだ。
家族が居たのだろうか?
この人が死んで、悲しんだ人がどれだけ居るんだろうか。
私は写真を見つめながら。そんな事を思った。
「満足か?・・・・それともまだ足りないか?」
月島省吾は静かな声でそう言った。
「・・・・分からない。」
私がそう言うと、月島省吾は冷めた声でこう言った。
「俺は復讐することは、悪い事じゃないと思うが。それだけ相手を憎んでいたら、復讐すればすっきりするだろ?だけどな、すっきりしない復讐はするべきではない。まぁ、もう遅いがな。」
その言葉に私は感情の無い視線を向けた。
「ボスは全て処分したよ、お前の最後の希望を聞いたわけだ。まだ見つかってない死体もあるだろうがな。北川叶の過去を知る人間は消えた。」
その言葉に、私は取り返しのつかないことをしてしまったんだと思った。
人の命はそんなに軽い物じゃない。
きっと悲しむ人が居たんだろうと思うと、何だか居た堪れない気持ちが込み上げた。