叶う。 Chapter2
「おぉ、省吾君か、おや?これは可愛いお客さんだね。」
おじさんはそう言って、月島省吾から私に視線を移した。
「初めまして。お父さんがいつもお世話になっています。」
私は何だか酷く恥ずかしい気持ちになったけれどきちんと挨拶をした。
月島省吾はそんな私の挨拶に満足したようでにこやかに私の頭をポンポン撫でた。
「しばらく見てないと思ったら、いつの間に子供が出来たんだ?」
おじさんはそう言って笑った。
「とりあえず座って、どうそ。」
私達はおばさんに案内されて、海が見える窓辺の席に向かい合って座った。
「何にする?いつものでいい?」
「うん、お願い。あ、それとこの子あんまり食べれないから少なめで。」
何故私があまり食べない事を知っているのか疑問だったけれど、私はとりあえず余計な事は言わないようにおばさんに笑顔で頭を下げといた。
「省吾君、いつ結婚してたの?」
おばさんは飲み物を用意しながら、そう声を掛けてきた。
「ずーっと前だよ、最近離婚したんだ。だから娘だけは手放したくなくて引き取ったんだ。」
月島省吾はそう言って、おばさんに見えないように私にウィンクした。
話を合わせろという事だと察した私は何故か瞬きをした。
「そうなんだぁ、省吾君にそっくりね。お名前は?」
私達の前に、ヨーグルトドリンクらしき物を置きながらおばさんが私にそう聞いた。