叶う。 Chapter2
ひょっとしたら今までのは全て演技で、私を殺すように双子の親から言われているんじゃないか、と一瞬頭の中で考えた。
私には無縁のはずのその場所を、車はゆっくりと走り続ける。
私は自分の心臓がドキドキと鼓動を早めるのが分かった。
減速してゆっくりと走っている今なら、車から飛び降りても大丈夫だろうかと一瞬頭で考えたけれど、ちょうどドアにこっそり手を掛けようとした瞬間、月島省吾は静かにこう言った。
「残念ながら、このドアは内側からは開かないよ。」
私はその言葉にひどく動揺した。
なぜ分かったんだろうと、心臓は更に鼓動を刻む。
「だからお前はガキなんだ。」
月島省吾はそう言って、呆れたように大きく溜息を吐いた。
それと同時に、車はとても大きな洋風の門の前でゆっくりと停車した。
人が乗り越える事が出来ないくらいの高い立派な門は、何だかホラー映画の洋館の入り口みたいで、私は寒気がした。
生い茂る木々のおかげで、その場所の奥に屋敷があるのかすら分からない。
ひょっとしたら、この場所に私を埋めに来たんじゃないかと咄嗟にそう思った。
そんな私の焦りとは裏腹に、運転手はリモコンのような物でその門を開いた。