叶う。 Chapter2
車に乗っているから良く分からないけれど、ギギギと開く門の音が微かに聞こえて私は咄嗟に耳を塞いだ。
門が開くと、車はゆっくりと生い茂る木々の間にある整備された道を進んでいった。
私はもう殺されることで頭がいっぱいだった。
耳を塞いだまま、ぎゅっと目を瞑る。
この車が止まったら、きっと私は引きずり降ろされて殺されるんだ。
それか生き埋めにされるのかもしれない。
もう、私の精神は限界だった。
心の中で、私は自分にさようならを告げた。
そして車は等々、止まってしまった。
私は目を開ける事すら出来ずに全身をガタガタと震わせた。
そして逃げる隙はあるのだろうかと考えたけれど、抜け目のないさっきの言葉で私はそれは無理なんだろうと確信した。
車の後部座席のドアが開いた音がして、木々の擦れ合う葉の音が微かに耳に聞こえた。
冷たい風がドアから流れ込む。
不意に耳を塞ぐ私の腕が、ぐっと引っ張られた。
そして私は強引に引っ張られて、車の外に連れ出された。
それでも私は目をぎゅっと閉じたまま、その場に蹲った。
どうせやるなら一気にかたをつけて貰いたいと心から願ったけれど、聞こえてきたのは小さな溜息と呆れた声だった。
「お前は一体何してるんだ?」
頭の遥か上から聞こえてくる月島省吾のその声に、私は恐る恐る瞳を開いた。