叶う。 Chapter2
/樹
クラスメイト達がお昼を食べようと各々に動き出す。
今日も和也がやってくるだろうから、私は今朝の夢を鮮明に思い出して吐き気が込み上げるのを待った。
「かなう、お昼行かない?」
和也がやってくる前に、祐希が私に近づいてきた。
「う、うん・・・。」
そう言って祐希をチラッと見ると、祐希は驚いた顔をしている。
「大丈夫?顔色悪いよ?具合悪いの?」
祐希がそう言ったので、私の作戦は今のところ順調だった。
「保健室行く?」
祐希が心配そうな顔で私にそう話しかけた瞬間、教室の後ろのドアから和也がやってきた。
「飯食いに行こうぜ。」
和也はそう言って、祐希と私の席までやってくるとどうやらちゃんと私の雰囲気に気付いてくれたみたいだった。
「かなう?どうした?すげぇ顔色悪い。」
そう言って、私のおでこに手を当てる。
「熱はなさそうだけど、具合悪いのか?」
心配そうに私の顔を覗き込む和也に、無言で頷く。
「・・・帰ろうかな。」
吐き気を抑えて、和也にそう告げる。
「だな、帰って寝た方がいいかもな。」
和也はそう言うと、何故か私の鞄を手に取った。
「送ってくよ。」
予想してなかった和也の行動に一瞬焦って素が出そうになったけれど、直ぐにまた元通りの演技に戻す。