叶う。 Chapter2
和也の家までの記憶を辿りながら、途中のコンビニで凛にお土産と自分のお菓子なんかを適当に買った。
これから楽しい刺激的な時間が過ごせるのだから、お土産くらい安い出費だ。
あんまり道は覚えてなかったけれど、ほぼ直進だった事はしっかりと記憶していたので、のんびりと周りを見ながら歩いていった。
微かに見覚えがある建物が目に入って来たので、私はその辺をぐるりと見回した。
そう、確かこっちだったはず。
私はそう思ってその道を真っ直ぐに歩いていった。
暫く歩くと、私の記憶通りに和也と凛の家が見えてきた。
モノクロの世界から見た家と随分イメージが変わったけれど、相変わらず凛と和也の家は大きかった。
この辺は所謂、高級住宅街と呼ばれるのに相応しい家々が沢山建っているけれど、その中でもこれだけの広い家に住んでるってことは2人共に裕福な環境で育ったんだろうことが良く分かる。
何だか自分の過去を思い出し一瞬嫌な気分になったけれど、今となってはどうでもいい。
特に凛の家は、昔ながらの日本家屋って感じだけれどとっても立派だった。
表札を見ると高そうな石の表札に“冴島”という文字をきちんと確認する事が出来た。
チャイムを鳴らそうか迷ったけれど、私は少し考えてから凛に電話を掛けてみることにした。
誰か家族がいるかもしれないと、ただ純粋にそう思ったからだ。