叶う。 Chapter2





しばらく待つと、スモークだらけのいかにもな車が私の目の前に止まった。

携帯で明日の天気予報を見ていた私は、それにつられて顔を上げた。

静かに車の窓が開くと、鋭い目付きの男と視線が合った。
男は小さく口笛を吹くとこう言った。


「お前がかなうか?」


男はご機嫌そうににやりと笑って私を見る。

私は少し驚いた。
なぜなら、迎えを寄こすと言った本人である事が、その声からわかったからだ。

私が黙って頷くと、男は「乗れ」と言って助手席のドアを内側から開けた。


私は無表情で大人しく、その助手席に乗った。


おそらく、こいつが凛の彼氏なんだろうことが、その容姿から推測出来た。

金髪の髪に、内側は黒髪が残されていて、それは凛の髪型と反対の染め方だったからだ。

普通に見たら充分威圧感たっぷりで、いかにも悪い事しかしてませんって雰囲気を醸し出しているけれど、私はシオンの威圧感で耐性が出来ているのでなんとも思わなかった。

座っているから分からないけれど、多分身長は和也と大差ないだろうけれど、何より筋肉質っぽいので力じゃ到底かなわないだろう。

私は凛の顔に出来た傷を思い出し、やっぱりこいつに殴られたんだろうと推測した。


私がしばらく大人しく観察を続けていると、男はご機嫌に話しかけてきた。




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