叶う。 Chapter2
凛は俯き気味で頭を抱えてた。
それは何か言葉を躊躇したかの様な雰囲気だった。
なぜそんな行動をとったのか一瞬考えたけれど、その答えは、次の凛の言葉で理解出来た。
「あの場所には、6人くらいの男と女が何人か居たの。……そこで、かなうのお兄さんに会った。すごく綺麗な顔だったから、間違いないと思う。」
凛はそう言って、小さく息を吐き出した。
なるほど、ね。
だから、会った事がある訳だ。
私は黙って頷いた。
そして話の続きを聞く為に、また凛をしっかりと見つめた。
ここまで来たら、全部教えて貰いたい。
そんな私の気持ちが通じたのかは分からないが、凛はまた話し始めた。
「アイツらは、酒に酔ってて……私にその場で服を脱げって命令したの。冗談じゃないって逃げようとしたけど、アイツに捕まって、その場に居た他の奴等も一緒になって、襲われそうになったの……」
なんだか、そんな光景が目に浮かぶようで、私は少しだけ気分が悪くなった。
「だけど、ね。かなうのお兄さんが、それを止めてくれたの。あの時のかなうのお兄さん、言ったら悪いけど、本当に怖かったの……汚いものは見たくないって、すごく冷たい声でそう言ってた。」
なるほど、その場に居たのはシオンの方か。
私は一人納得したけれど、凛の話は続きがあるようだったので、またしっかりと凛を見つめた。