叶う。 Chapter2




私は泣きじゃくる凛をずっと抱き締めていた。
抱き締めながら背中を擦って、凛が落ち着くのを待った。

時計に視線を向けると、時刻は午後の7時半だった。


もう余り時間がない。
でも、例え今日約束をすっぽかしたとしても、凛は家に居るから樹は手出し出来ないから大丈夫だろう。


凛がようやく落ち着いたのは、それから30分くらい経ってからだった。


「ねぇ、凛?本当に病院行かなくて大丈夫?」


凛はやっぱり病院に行く気はなさそうで、黙って首を振った。
凛が落ち着いたので、私は買って来た軟膏やら湿布やらで、凛の身体に出来た傷に応急措置をした。

見ていて痛々しいけれど、どれもそこまで酷い怪我じゃなさそうだ。

だけれど、1つだけ気になる。


「ねぇ、凛。……避妊大丈夫?」

「……駄目かも。」

「危ない日だったの?」


私の言葉に凛はまた瞳に涙を浮かべて俯いた。


「……大丈夫、ちょっと待っててね。」


粗方の応急措置を終えると、私は鞄を持って部屋を出た。
確かシオンがアフターピルを持っていたし、恐らくレオンも持っているだろう。

まだ時間は大丈夫そうだから、レオンが帰って来たら事情を話せばきっと分けてくれるだろう。
なんとなくだけれど、シオンにお願いするのは嫌だった。




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