叶う。 Chapter2
それに、レオンの方が何かと相談しやすい。
可愛い妹の友達が困っている事を話せば、多分悪いようにはしない気がする。
シオンに事情を話しても、きっと関係ないで済まされるに決まってるし、最悪はアンナを出せと条件付けられる気がする。
私はそんな事を考えながら、鞄を持ったまま防音室に向かった。
先ずは和也に連絡を入れておこう。
無視すると、うんざりするくらいメールを送って来るはずだからだ。
携帯を取り出すと、案の定和也からメールが届いていた。
内容は私を気遣う言葉ばかりだったので、私は本当に調子が良くないから明日学校に行けるか分からないとメールを入れておいた。
ずっと寝てた事にして、体調が良くなったら電話すると伝えておいたので、これで暫くは大丈夫だろう。
それが済むと、私は鞄から樹に渡された名刺を取り出して、その番号を携帯に登録してから、樹に電話を掛けた。
約束の時間まで後少しだったからか、樹は直ぐに電話に出た。
"……はい。"
「あ、かなうだけど。」
電話の向こう側が、うるさくて若干聞き取りにくいけれど、この不快で耳障りな声は樹に違いない。
"あ?お前何してんだ?早く来いよ。"
煩い音楽と、威圧するような樹の声がとても耳障りだった。
「悪いけど、急用が出来たの。何時までそこにいるの?」
私がそう言うと、樹は電話口で怒鳴った。