叶う。 Chapter2
私はゆっくりと食事をする凛の横を通り、クローゼットを開くと赤いニットのワンピースを取り出して、それに合わせる網タイツも一緒に出した。
ベッドにそれを置いてから凛に向き直り、こう言った。
「あのね、兄が多分、アフターピルを持ってるの。だから受け取ってくる。」
凛は食事をする手を止めて、心底申し訳なさそうな顔をした。
「・・・ほんとに、ごめん。何か私・・・のせいで。」
私は今にも泣き出しそうな凛の向かいにしゃがむと、凛の手に自分の手を重ねた。
「大丈夫だよ。何があっても、かなうは凛の味方だよ。それに、凛の彼氏の事も、兄に相談してくるけどいい?」
私が優しくそう語り掛けると、凛は静かに頷いた。
多分、もう自分で解決出来る事じゃないと凛もきちんと分かっているんだろう。
それだけ酷い目に合わされたんだから、それは当然だろうけれど、いくら自業自得とはいえ流石に許せる事じゃない。
大丈夫、私がきちんと復讐してあげる。
私は心でそう誓って、凛の手を優しく撫でた。
「直ぐ戻ってくるけど、ひょっとしてママが帰宅しちゃうかもしれないし、私が出かけたら部屋の鍵閉めておいてくれる?」
「・・・うん、分かった。」
「部屋の鍵は私しか持ってないから、凛はゆっくり休んでてね。遠慮は要らないからベッドで少し眠れるなら横になってて。」
「うん、ありがと・・・かなう。」
私は無言で凛をぎゅっと優しく抱き締めてから、そっと離れて支度を始めた。