叶う。 Chapter2
内部はとても騒がしくて、若い男女が音楽に合わせて踊ったり、ベタベタと身体を寄せあっては楽しそうに騒いでいた。
あまりの人の多さに、頭がクラクラしそうになったけれど、私はしっかりと樹の腕にしがみついて辺りをもっと良く観察した。
ミラーボールにシャンデリア、バーカウンターに少しの座席もほぼ満員で、平日の夜中だと言うのになぜこんなに人が居るんだろうかと疑問に思った。
「すごいね!」
私は人混みを歩く樹の耳元でそう言った。
「あぁ。」
「いつもこんなに人が居るの?」
「だいたいな、こんな感じだ。満足したか?」
人の波を掻き分けながら、樹はバーカウンターに向かった。
「なんか飲むか?」
バーカウンターの前は、フロアに比べて少し静かだった。
樹はカウンターに寄りかかりながら、何やら注文した様だったけど、私は黙って首を振った。
そして辺りを観察して、凛が言っていた2階部分にはどこから行けるのかを探した。
すると、右手の部分に不自然な2階フロアらしい場所を発見して、それを視線で辿った。
その場所は広めの螺旋階段で1階フロアと繋がっている事が確認出来た。
だけれど、螺旋階段の下にはやっぱり厳つい男が二人立っている。
走って突破する事が出来るか一瞬考えたけれど、このヒールじゃ多分無理だろうと思った。