叶う。 Chapter2




私はどちらにメールをしようか少し迷った。
だけれど、女大好きなレオンがこの場所に居る可能性よりも、シオンが居る可能性の方が若干確率が高い気がした。

だから、私はシオンのアドレス宛にメールを送信した。


″下を見てみて。″


たったそれだけで、充分だと思った。
例えどんな人混みだろうと、遠く離れていようと、シオンは必ず私を見つける。

私ではなく、もう一人の私を。



私はメールがきちんと送信されたのを確認すると、ゆっくりと2階フロアに視線を向けた。

手摺から腕を垂らして顔を覗かせたその人が、私を見つけた瞬間、私のワクワクは最高潮に達した。

あれは多分、レオンの方だ。
きっとシオンに言われて、確認したんだろう。



私が携帯を鞄にしまうと、樹は私の腰に腕を回して人混みに向かおうとした。

だけれど、残念なことに先程螺旋階段の場所に居た厳つい男が慌ててやって来て私達の前に立ち、その道を塞いだ。


「なんだ?」

樹は一瞬、驚いたように顔がひきつったのを私は見逃さなかった。


「2階へ来るようにと。そちらのお嬢さんもご一緒に。」


樹は私をちらりと見た。
私は樹に今まで見せた中でも、更に極上の笑顔で笑いかけた。




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