叶う。 Chapter2




シオン達が、普通の人じゃないという事に。

ひょっとしたら、楽しい修羅場が見れるかもなんて期待していたけれど、そう言うレベルの話じゃない。

シオンとレオンは、私が今まで知らなかった何か重大な真実を隠しているのだ。

兄達が、何か悪どい事でもしているのかと思って、ほんの少しそれを知りたいと思った好奇心が、今や知らなければ良かったと後悔すらしてしまいそうだった。

私は途端に怖くなって、小さくこう言った。


「こ、ろさないで。」


私がそう言うと、シオンはまた片方の口角だけをあげて笑った。

その綺麗で情の欠片すら感じさせない冷酷な笑みは、何故だかとても美しかった。
悪魔が笑うと、きっとこんな感じなんだろう。

「あー、アイツのせいで気分最悪!」

レオンはそう言うと、大きく伸びをした。

「俺帰る。」

レオンは相変わらずマイペースにそう言うと、私の方に向き直った。

「あーちゃんも帰ろ?」

レオンがそう言って手を差し出したので、私は立ち上がってその手を繋いだ。

ちらりと振り返ってシオンを見ると、どうやらまだシオンは残るらしい。


何をするのかなんて、私は知らなくて良い。

知ってはいけない。


私はそう思って、レオンに手を引かれるまま螺旋階段を降りた。

そして人で込み合うホールではなく、レオンは更に奥に向かった。
その場所は裏口だったようで、私達は人目に触れる事なく、賑やかなその場所を後にした。



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