叶う。 Chapter2
「あーちゃん、お願いだからシオン怒らせないでよ。」
レオンと手を繋いで歩いていると、突然そんな事を言われたので私は顔を上げた。
レオンは顔を上げた私を真っ直ぐに見下ろすと、続けてこう言った。
「あーちゃんに何かあったら、俺ら殺されちゃうよ?」
半分笑いながらレオンはそんな事を言ったけれど、その瞳はやっぱり本気みたいだった。
私はこの双子が一体何者なのか、とても知りたくなったけれど残念ながらそれを聞く勇気は持ち合わせていなかった。
だから私は「ごめんね。」と小さく呟いた。
そして話を変える為に、レオンに続けざまにこう言った。
「ねぇ、レオン?私の友達が家に来ているんだけど。」
「そうなの?」
「うん、さっきの男の所から連れて来たんだけど、酷い事になってて、病院連れて行きたいんだけど本人が嫌だって言うの。」
「あー、樹の女?警察沙汰は今はまずいかもな。」
「何で?」
「さっき見てたでしょ?樹はもう消される。」
消されるの意味を知りたいと思ったけれど、私は殺さないでとシオンに頼んだのだから、きっと殺される事はなくても、二度と口を聞けないような状態にされる可能性はあるのかもしれない。
それは私が望んだ事のはずだったのに、何故だか胸が痛くなるのは多分北風がとても冷たいせいだと私は思った。