叶う。 Chapter2
無言でそんな事を考えてると、マンションが見え始めた。
私はレオンにお願いしなきゃいけない事を思い出した。
「あのね、友達なんだけど・・・」
「うん?」
「病院いけないなら、薬がないとダメかも。」
「何の薬?」
「ほら、無理やりされたから、その・・・」
「あー、ピルが欲しいの?」
「うん、それ。」
「りょーかい。」
レオンはそう言って、私の手を引いたままマンションに向かった。
やっぱりレオンもそういう物を持っているんだと再確認すると、何だか複雑な気分になった。
私にはとっても優しい兄だけれど、その裏の顔は正直見たくはなかった。
昨日までのレオンからは想像出来なかったあの声が、私の耳を離れない。
今までならシオンを怒らせないようにと思っていたけれど、これからはレオンにも少し注意した方が良いのかも知れない。
私が頭の中でそんなことを考えてると、レオンはさっさとマンションに入りエレベーターに向かった。
繋いだ手はとても温かかったのに、何故か私の心はどんよりと雲がかかったみたいに憂鬱だった。
自宅の扉まで辿り着くと、レオンはふと私の顔をじっと見つめた。
私が首を傾げると、レオンは優しく笑ってこう言った。
「友達可愛いの?」
私はそんな言葉に思わず笑ってしまった。