叶う。 Chapter2




なんだかんだ言っても、やっぱりレオンはレオンだった。
多分、私がとても憂鬱な気分なのを敏感に察知して、そんなことを言ったんだろうと思った。


「可愛いよ。でも、今は酷い事になってるけど。」


私は笑いながらそう言った。

私がそう言うと、レオンは満足そうに玄関の扉を開けて、先に私を促した。

玄関を入ると、途端に全身が暖かくなる。
なんだかその暖かさに酷く落ち着いた気分になったと同時に眠たくなった。


「着替えたら薬持ってくよ。」


玄関で靴を脱ぎながら、レオンがそう言ったので私はお願いと言って自分の部屋に戻った。
小さな鍵穴に、今まで使った事すらなかった玩具みたいな鍵を差し込む。

カチャリと小さな音を立てて扉が開いたのを確認すると、私は静かにその扉を開けた。
凛はソファに座ったまま、こちらを不安そうに振り返った。

「ごめんね、遅くなって。」

私は優しくそう言って、凛の隣に座った。
初めてやってきた私の家で、事情があるにしろ一人にされた凛はさぞかし心細かっただろうと思った。


「ううん・・・私こそごめん・・面倒かけちゃって・・・」


凛がそう言ったので、私はまた優しく凛の手を取った。


「もう、大丈夫だよ。全部終わったの。」


私がそう言うと、部屋の扉がコンコンと2回ノックされた。




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