夜空の琥珀
怒り
反射的に暗い気持ちを振り払うのと、若葉くんが息を切らせながら駆け寄ってくるのは、同時だった。
「やっと見つけた。よかった……」
「若葉くんが慌てるなんて珍しいね。何かあったの?」
「うん、ものすごく! どうしても話しておかなくちゃいけないことがあって」
「は、はい。何でしょう……?」
とても真剣な若葉くんを前にして身動きが取れなくなってしまう。
さながら、ヘビに見込まれたカエルみたいだった。
一体何を言われるのか、ハラハラしていると、
「ごめん。すっかり忘れてた」
ヘビに謝られ、ポカンとするカエル。