夜空の琥珀
「俺たちに理解者は必要ない。全員が敵だ」
彼の言葉が、やけによく聞こえる。
「友達だと? 笑わせる」
握られる拳。
私はもうすぐ起こるであろう出来事を理解した。
予想通りに拳は引かれる。
けれど私は動けなかった。
それどころじゃなかった。
城ヶ崎の拳が、速度をつけようとしたとき――私の頬を、雫が伝う。
「……っ!?」
止められる拳の向こうで、瞳が戸惑い揺れている。
「何……やってんだ」
「わからない……けど、悲しいのかな? これは……」
声はか細く、震えてしまった。