夜空の琥珀
 
「正論だと思うなら、何を言ってもいいのか? そんなのは言葉の暴力だ!」


「生意気言ってんじゃねぇ!」



 直後、視界が大きく揺れた。


 髪を引っ張られているのだとわかったのは、少し経ってからである。



「友達の悪口は許さないってか? 腐れ人間のクセに、よく善人顔ができるもんだ。

 お前みたいなヤツのの正論なんて、信じられるか!」



 髪を強引に引っ張られ不自然に顔が下を向く。

 気管をふさがれ、息も抵抗もできない。



「く……ぅっ!」


「どうせこの髪だって染めてるんだろ? 自分で目立とうとしてんじゃないか。それに何を言われたって自業自得だろ。

 休むなら、お前が休めよ。亜貴は悪くねぇ」



 この人は遠藤さんが休んだことを心配しているんだ。

 それは、思いやり。

 だけど、こんなやり方間違ってる!
 
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