夜空の琥珀
「ありがとう若葉くん。大丈夫。もうバレたから」
一瞬だけ目を見開き、うなずく若葉くん。
彼の手を借りて立ち上がり、振り向く。
「城ヶ崎……ありがとう!」
「……な」
「助けてくれようとして、嬉しかった」
今までがアレだったから、面と向かってお礼は気恥ずかしいけど。
だけど……本当に、嬉しかったの。
「じゃあね城ヶ崎。また明日!」
照れ隠し以外の何物でもなく。
固まる城ヶ崎をよそに、茜が射す廊下を、私は返事も聞かずに歩き出したのだった。