夜空の琥珀
 
 完全に人影のない空き教室の辺りまでやってくると、やっと話が切り出せるようになる。



「助けてくれてありがとう、若葉くん。

 城ヶ崎には……全部バレちゃってたみたい。でも見ての通りいい人だったから、心配はないと思うな!」


「なら、よかった」



 ――上級生相手に引けを取らない、凛とした姿勢。

 笑みを刻む顔が、そのときだけ見せた真剣な眼差し。

 そして、あの細腕からは想像もつかない、力強さ――


 正直、気が気じゃなかった。


 ……男の子なんだ。そう再認識させられた気がして。
 
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