夜空の琥珀
 
「仕方ないよ。それだけのことを向こうはしてきたんだから。……それより」



 つと、若葉くんの表情が憂いを帯びる。



「髪……」


「ん? ああ、もう平気……」



 向き直ろうとしたとき、伸びてきた手が耳をかすめ、後ろ髪に触れて止まった。



「せっかくの髪を、染めてるだなんて」


「……若葉くん?」


「突然ごめん。でも、これだけはどうしても言っておきたくて」



 手を引き、代わりに真っ直ぐな視線をくれる。



「紅林さんの髪はとても綺麗だと思う。おかしいところなんてないよ」



 ……真顔で言うもんじゃないと思います、それ。
 
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