夜空の琥珀
 
「お前、自分がなぜ校内一の不良として恐れられているか、考えたことはなかったのか?」


「……どうして?」


「考えてみろ。問題を起こしたわけでも、日常的に乱闘しているわけでもない。お前が最凶の不良という証拠はどこにもないんだぞ」



 確かに、私の傍には誰もいなかった。

 みんな近寄ろうとしなかった。

 だから、独りぼっちだった。


 ……本当なら、何かがあったっておかしくはなかったんだ。

 たとえば、私に反感を持つ不良が連日のように押し寄せてくる、とか。


 なのに、信じられないほど独りぼっちで、平穏な日々を送ってこられた。

 ――それはなぜなのか?
 
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