夜空の琥珀
 
「お前、ミブロに助けられたことがあるだろう」



 どうしてそれを知っているの。

 疑問を口にする前に表情で悟られた。



「あのミブロの動向だ。嫌でも耳に入ってくる。あれほど冷酷で非情だと謳われたヤツが女を助けた。弱味でも握られてねぇ限り、そんなことはしねえだろ」


「じゃあみんなは、私がミブロを脅してるって、そう思ったってこと? 私、彼にそんなことしてないわ!」


「落ち着け。そういう見方をしているヤツもいるってことだ」



 城ヶ崎の言うことは認めがたい。

 でも不良に絡まれたとき、脅かせば逃げて行ったというのも事実だ。

 私が怖がられていたのは、ミブロと同等か、それ以上の力を持つ存在だと思われていたから……。
 
< 166 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop