夜空の琥珀
 
 ずっと気になっていた。

 彼が時々見せる、寂しそうな表情。

 一瞬だけ見せたその後には、何事もなかったように笑っていた。


 思い詰めている事実を隠しているようだった。

 さすがの私でも、何かがあると気づく。



「もし、若葉くんがみんなのしていることを平気だって思っていたとしても、避けられて嬉しい人はいないよね?」



 私が見ていないところで彼が独りだったこと。

 何があっても、彼自身のことは話してくれなかった。



「避けられて平気って言うのはやめて。……独りは寂しいよ。それに慣れてしまうのは、もっと寂しい……」



 下を向いた拍子に、涙が零れ落ちた。
 
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