夜空の琥珀
「また紅林のとこに行ってたんだろ? 仲のよろしいことで」
「はぁ? どこが!?」
心外にも程がある。あの編入生ならともかく。
冗談かと思ったが、クソ真面目な顔のまま日野が言葉を継ぐ。
「俺ら言ったよな、アイツだけはやめとけって」
切羽詰まった表情が、逆に不思議だ。
……やめとけ、ね。
「だったら無駄な心配だな」
コイツらは知らないから仕方ないんだろうが、紅林はただの女なんだ。
……いや、少し違うな。
弱虫で、強がるくらいしか能のない女。
だから本心では泣きそうなくらいビビってるクセに、「友達」が傷つけられると真正面から食ってかかってくる。
それが、紅林がただの女であって、ほかのヤツとは違うところだった。