夜空の琥珀
 
 憧れだった。


 強く凛とした姿に、弱い私は当然のように目を奪われた。


 でも、私が本当に憧れたのは強さなんかじゃない。


 優しい心。本当に大切なものを守ろうとする彼に、私は憧れた。


 今まで信じてきたものを、私が信じないでどうするんだ。



「少しは使えると思ったんだが……バレたもんは仕方ねえなぁ」



 不気味な笑みは真実を現す。 

 私が信じていたものは、この人にとって私をおびき出す餌に過ぎなかった。



「そんなことのためにミブロを名乗るなんて、許せない!」


「だからといって、お前に何ができる? ただの女が男に勝てるとでも?」



 そう、私はただの女。


 最凶の不良でもなければ、剣道の達人でもない。


 だけどね。
 
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