夜空の琥珀
 
「ごめんなさい……」



 本当に、与えられてばかりだった。


 強さ、優しさ、独りじゃないという励まし。


 たくさんのものを与えてくれるのに、彼は何も求めようとはしなかった。


 人々を傷つけないために、自分からは求めなかった。


 そんな彼に、私は一体どれだけのことをしてあげられていたのだろう?



「……謝ることはない。後悔することもない」



 穏やかな声が耳元でささやかれる。


 辛さは若葉くんのほうが大きいはず。

 それなのに、落ち込む私を優しく励ましてくれる。いつだってそう。



「この僕も、僕が恐ろしくて否定していた『僕』も、君は必要としてくれた。今日、君のおかげで気づかされた。どんなに否定したってあの『僕』も僕なんだって」
 
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