夜空の琥珀
(悪気が全っ然感じられないわ。いきなりつねってくるなんて信じられない。鬼だね、あの手は!)
そう思ってはたと気づく。
そうだ、手……。
「ねぇ若葉くん、聞いてもいい?」
「なに」
「もしかしてさっき、頭、撫でてくれてた?」
そっぽを向いていた若葉くんが一瞬だけ黙って、ぽつり。
「君のご想像にお任せします」
「逃げたー!」
「何とでも言って! こっちはむなしさと罪悪感と理性の狭間で葛藤してたんだから!」
わーっとまくし立てる若葉くんに、キョトン。
無言で続きを促すと、若葉くんは眉間にシワを付け足し、ヒジョ―に不服そうな声で呟いた。