夜空の琥珀
 
「いい? 今から言うよ」



 そう言い、若葉くんが耳元に口を寄せてきた。

 一体何を言われるのだろうと、気が気でなくなる。



「実は……」



 吐息が耳朶にかかる。

 やがて紡がれる言葉。



「僕たちが初めて会ったのは、3年前じゃないんだよ」


「…………はい?」


「僕のこと、覚えてない? ――セラちゃん」



 ドクン、と胸が高鳴った。


 家族以外に名前を呼ばれることなんて久しぶりだったから、ビックリしたと思ったけど、着眼点が違うことに気づいた。


 私、今なんて思った?

 何が久しぶりだったって?
 
< 248 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop