夜空の琥珀
「――――っ!!」
……思い出した。
そうだ、昔名前を呼ばれていたことがあった。
「そんな……」
信じられなかったけど、確かに記憶にある。
家族以外で名前を呼んでくれていたのは、たった1人だけ。
ドクン、ドクン、と心臓が脈打つ。
心当たりがある。
直感的に。いや、確信的に。
「まさか…………ソウ、くん?」
もし間違っていたらどうしよう。
そんな不安は、満足げにうなずく若葉くんを前にして杞憂に終わる。
「久しぶりだね、セラちゃん」
そうして微笑んだ顔が、薄れていた記憶を思い起こさせてくれる――