夜空の琥珀
 
「……悪いと思ってるなら、いなくなるときにひと言くらい言ってくれればよかったじゃない」



 むき出しになるのは、置き去りにされて寂しいと泣く、弱い私。

 弱いがゆえに、支えになってくれる人を求め続けている。



「ホントひどい奴でしょ。なじってくれてもいいし、何なら一発くれても構わないよ」


「本気で言ってる?」


「これで冗談だったら、自分で自分を殴ってる」


「わかった。それじゃ、遠慮なく」



 簡潔に返答すると、私も椅子から立ち上がって若葉くんの正面に立つ。

 真っ直ぐに見つめてくる新緑の瞳から、彼の真剣さが伝わってくる。


 こっちも中途半端な気持ちじゃ、失礼だよね。


 ざわめく気持ちを落ち着かせ、心を決める。

 深呼吸をし、足の裏に力を込める。そして――



 若葉くんに向かって、真正面ダイブ!



「え……っ !?」
 
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