夜空の琥珀
 

 前髪を少しだけ掻き上げてみると、幾房かがサラサラと額に落ちてきた。

 長いまつげは瞬きを忘れている。

 白い肌と艶のある黒髪は、女の私から見ても羨ましくなるほど。



「思った通りかも。背も高いよね。私から見て高いって、相当なことだよ?」



 苦笑話だけど、母の血のおかげで、私は色んなものが日本人より突出している。

 髪の色しかり、身長に至っては、確か170cm近くあったような気がする。

 ちなみに現在も成長中。

 これ以上目立ちたくない私泣かせの事態である。


 ……それはともあれ、今の状態だけでも若葉くんの眉目秀麗さがひしひしと感じられる。

 だからすごく頭をよぎっていることは、眼鏡を取ったらどうなるんだろう、という月並みな考えだった。
 
< 26 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop