夜空の琥珀
 
「嫌なら別に構わないからな?」


「ううん。嬉しいよ! すごく嬉しいんだけどね、その」



 苦笑いしながら、そっと隣を見やる。

 そこには、いまだに顔を引きつらせたままの若葉くんが。



「私はいいんだけど、若葉くんが何か言いたそうなので……」


「ふふっ、ありがとうセラちゃん。すぐに終わらせるね。朝桐くん、ちょっと表に出ようかー?」


「は? 何だいきなり……って! いてててっ!」


「ほんっと、いいところで来てくれたよねぇ。空気読めないにもほどがあるよねぇー」


「ワケわかんね。つーか腕放せ……いでッ!?」


「――大口叩くのもいい加減にしろよ。彼女に馴れ馴れしくするからには、それに見合った覚悟はできているんだろうな。確かめてやるからさっさと来い」


「え、急に口調変わった……って、いてーっつうの! はーなーせーっ!」



 ずるずると朝桐くんを引きずって行く若葉くんを、苦笑しながら見送る。
 
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