夜空の琥珀
気になる……すごく気になる。
けどそれじゃあ、表面でしか若葉くんを判断していないって気もする。
「若葉くんは、外見以上に内面がステキだと思うな。地味だなんてこと、全然関係な、」
「紅林さん!」
語尾と重ねて、若葉くんが声を上げた。
「チャイムが鳴ったけどいいの?」
「えっ、いつ?」
気づかなかった。周りを見渡しても時計なんてシャレたものはこの部屋にはない。
腕時計はしてないし、携帯は教室。
「11時35分。予鈴だね」
そう言う若葉くんも腕時計はしていない。
かといって、携帯を開いているわけでもない。
窓際の若葉くんに歩み寄り、彼の視線を辿る。
するとある教室の壁に掛けられた時計が見えた。
でも、それだけ。