夜空の琥珀
 
 ……幼い兄弟は、顔を合わせたことの少ない兄に反発をする。

 それも仕方ない。

 まだまだ父、母っ子だ。

 検査の付き添いのために大好きな父と母をとられる恨みは、子供ながらにすごい。


 ……僕は、家族にさえ受け入れられていない。


 そんな僕を、両親と母方の祖母は励ましてくれたが、それが煩わしかった。


 誰だって、僕のことを物珍しい目や敬遠の目で見る。

 その視線の数々を前に、平静なんて保てない。

 僕は暴走をする。


 だから、僕に構わないでほしい。

 放っておいてほしい。

 そうすれば、父さんや母さん、おばあさんまで、嫌な目で見られなくなるのに……。



 不意に、何かが頭に触れた。
 
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