夜空の琥珀
 
 撫でられているとわかったのは、少し経ってからだ。

 僕より頭2つ分は高いところから見下ろす深海の瞳が、温かい色をたたえている。



「あなたは優しい子ね。都ちゃんが自慢するだけのことはあるわ」


「……え?」



 母が、僕のことを自慢?

 またそんなことを。

 いいって言ってるのに。


 女性は僕の目線まで膝を折ると、肩に手を添えてきた。



「優しくていい子だけど、少し優しすぎるわね。言いたいことはハッキリ言わなきゃダメよ」


「あの……」


「その歳で我慢なんてしなくていいの。自分の思ってること、やりたいことは、隠さないでぶつけてやりなさい!」



 あまりの勢いでたじたじになっていると、女性は今までで一番優しい笑みを浮かべる。
 
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