夜空の琥珀
 
 大きな茶色の瞳は揺れ動いている。

 泣きそうなのに、女の子はぐっと唇を噛み締める。



「独りぼっちが寂しいのは、わたしがよく知ってるもん。だから、お月さまは独りぼっちにさせないもん!」



 僕は、何とも言えないような気持ちになった。

 生まれて初めて、月がうらやましいと思ったのだ。



『独りぼっちにさせない』



 そんな風に想ってもらえる月が、うらやましかった。


 僕がこの子の「お月さま」になれたら、どうなるだろう。

 独りにさせないって、一緒にいてくれるって、言ってくれるのかな?


 そんなことを考えて、気づいてしまった。


 心の奥底で、独りぼっちが寂しいと感じていたことに。
 
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