夜空の琥珀
「でも、ここに残るわけにはいかないんです。僕はまだ弱い。こんな中途半端なままじゃ、セラちゃんの傍にいてあげられません」
この衝動は、僕にとって脅威でしかなかった。
だが防ぐ方法がないわけではない。
僕はもっと強くなれる。
「……気持ちは、変わらないのね?」
「はい」
今までの、弱い僕ではダメだ。
この血を恐れ、人をも恐れていた僕のままではダメなんだ。
彼女のために、強くならなくてはいけない。
「わかった。そこまで言うのなら、私が口出しすることは何もないわ。でも、ひとついいかしら」
「何ですか?」
「いい? どんな理由があっても、あの子が悲しむことは目に見えてる。あなたも充分わかってるはずだわ。
可愛い1人娘を泣かされて黙っていられるほど、私は大人じゃないの。だから、責任を取ってちょうだい!」
そう言って、ビシッと指を突きつけられる。
小指を。