夜空の琥珀
 
「約束して。今離れてしまっても、その言葉通り強くなって、いつかきっと帰ってきて。そしてあの子を守ってあげて。

 私たち親にも、できることには限界があるわ。あの子が辛いとき、それを隠しているときもあなたが守ってあげて。あの子にとってはそれが一番のはずだから。

 あなたが、あの子の『お月さま』になって」


「僕が……」



 正直、戸惑っていないと言えば嘘になる。

 でも、あの子と同じ面影、同じ髪、そしてただひとつ違う深海の瞳を前に、心はたったひとつに決まる。



 ――僕が、あの子を守る。



 それが、悲しませてしまうことになる僕の、せめてもの恩返し。
 
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